第9章 初陣
「ふふっ悠ってば、血の気多すぎなんだから~。」
そんな俺に気づいらしい及川が、俺の背中をポンポンと叩いた。
「うっせぇ。早く飛ばせろよ。……徹。」
「大丈夫!!お楽しみはこれから、だよ☆」
不敵な笑みを浮かべる及川は楽しそうな様子でネットの向こうに視線を向けていた。
「___今はまだ、飛雄ちゃんにNo.1セッターの座は譲ってあげないよ!………後5点、悠には飛んでもらうからね?」
「……あぁ。任せろ。」
拳を合わせ、ニヤリと笑い合う。
一歩、また一歩と勝利の階段を上がっていく感覚を噛み締めながらお互いに背を向け、ポジションへと向かう。
今俺は、セッターからのトスを一番受けやすいライト___すなわち、本来の俺の居場所(オポジット)である位置に立っているわけで。
____あと5点………
少しの間くらい、本気出して暴れてもいいよな?
「____岩ちゃんナイッサー!」
岩泉の及川に近い位の強い威力のサーブは、烏野の守護神リベロくんによって捕らえられ、上げられたボールは影山の手によって日向へと届けられた。
ドカッ
「____渡っち!」
「っハイっ!」
バンッ
俺たちの狙い通りに影山と日向の神業速攻は、渡がディグで拾い、及川へと戻る。
それと同時に助走を着け始めていた俺は、今までよりも深く体を沈め____
トッ
及川の手から放たれたボールは勢いのあるダイレクトデリバリー。
その軌道は高く、"俺の好むトス"。
キュ、ギュ
高く跳ね上がる体は弓なりになり、
最大限に後ろへと引いていた手は一瞬で前へと振り下ろされ、ボールを捉える
ゴッ ズガン
…………キュ
___瞬間、静まりかえる周囲の音。
「…………すげぇ」
__May I become serious?