第9章 初陣
ニィと見下ろすように笑みを向けるとギラリと光る澤村の瞳。
「___っくそっ!まだだ!もう一本止めんぞっ!!」
俺の挑発に熱くなった澤村を始めとする烏野メンバーたち。
エンドラインの外側には"2番"の札を持った目付きの悪い男の姿。
ピーーーーッ
「このタイミングで飛雄ちゃんが入ってくるか~。全く………楽はさせてくれないねぇ!」
「……んでもって、影山がサーブか……」
少し緊張感を孕んだ顔つきになる及川に、つられるように岩泉たち残りの青城メンバーにもピリッとした緊張が走る。
ボールを手にエンドラインの外側に立つ影山はニヤニヤとした表情でボールの感触を手に馴染ませていた。
___そして、次の瞬間
ピリッ
影山から滲み出る半端じゃない集中力と闘志に、及川の体がびくりと跳ねる。
「___っ!?一本で切るよっ!!」
自分自身の体にも痛いほど伝わってくる影山の放つ殺気にも似た闘志に俺の全身がゾワゾワと落ち着きを無くしていく。
…………はは、たまんねぇ。
あんな殺気だった目向けられると、
抑え効かなくなりそうだ。
ドキュ
「っくっ!」
影山から放たれたボールは、物凄い勢いで青城コートへと飛んでくると、それを受けた渡の腕を弾き、コートの外へと飛んでいった。
「影山っナイッサー!!」
「うおお!リベロからサービスエース取ったぞっ?!」
会場内に飛び交う声。
しかしその音は俺へと届くことはない。
影山に触発され高まる集中力。
ドガッ
再び放たれた超高速サーブ。
「___俺がっ!」
気がつくと走り出し構えている体。
間もなくして届いた重いボールを膝を使って勢いを殺す。
………トン
緩やかに弧を描き及川の元へと戻っていくボール。
及川の手によって上げられたトスは、岩泉によってきっちり返され、青城の得点番を捲らせた。
「一ッナイスキー!!」
「ナイスブロック!悠っ!」
バチンっという軽快な音ともに合わさった俺と岩泉の掌。スパイクを決めてすぐの岩泉の手は熱く、その熱がさらに俺を掻き立てていく。
___Fighting spirit to get excited.