第9章 初陣
"青葉城西25―17烏野"
想定以上に点は入れられたが、無事第1セットを取った俺たちは、第2セットが始まるまでのインターバルの間、影山と日向の速攻への対処について話し合っていた。
「来るのは分かってても、反応出来ねぇんだよなぁ。」
「……そうそう。それに、あの10番の囮も厄介だわな。ピョンピョンと目障りだし。」
「ん~~~悔しいかな神業速攻は悠しかブロック追い付けないよねぇ。本っ当、あの正確すぎるトスが気持ち悪いったらありゃしないよ!」
岩泉、松川、及川の言葉を静かに聞いていた俺はゆっくりと口を開く。
「………じゃあさ、ブロックしなきゃいいだろ?……止められないブロックは飛ぶだけ邪魔だし。……それに、うちにも優秀なリベロがいるのをお忘れではないですか?」
渡の肩に腕を置きながらニヤリと笑って見せると、俺を見ていた及川の目が見開かれて。
次の瞬間____
「__そうだ!捨てよう!!むしろ、渡っちと悠がディグで対応した方がよっぽど確率が高い。」
嬉々とした表情の及川が饒舌に作戦を話始めると、それを聞いていた岩泉たちも、なるほど、という納得の表情を見せていた。
___第2セットが始まるとすぐに開いていく点差。
次々に決まる俺のスパイクに必死でついてこようとする烏野メンバー。………中でも澤村とリベロくんは物凄い闘志をたぎらせながら何度も何度も食らいついてきた。
「うおぉぉお!」
澤村の鬼気迫る勢いの気迫を全身で感じながら放ったストレートは、澤村の構える先ど真ん中に当たると、衝撃に顔を歪めた澤村が気合いで上げてくるが、ボールは高い軌道を通り青城コートへと飛んでくる。
「チャンスボール!マッキーっ!」
「オオッ」
花巻から上がったボールが及川へと返ると瞬間重なる視線。
「レフトッ!」
声を上げ、踏み込むといつもより高らかに上げられたボールが俺の手に吸い付くように現れる。
___ゴッ
バンッ
あまりの球速に対応できずに固まっていた烏野メンバーは、ほどなくしてハッと意識を戻した。
「………受けてくれたのは嬉しいけど、まだ負ける気ねぇんだわ。」
___Stable strength.