第9章 初陣
「ドンマイドンマイっ!次、一本で切るよ!!」
「オオっ!」
神業速攻を前に為す術をなくしている青城メンバーたち。確かにあの速さは厄介だが、目を瞑って打ってるためコースは選べていないのが事実。
そうであるとしたら対処法は決まってこないか?
その後も及川のサーブで烏野の坊主くんこと田中を苦しませるものの、結局は奮起させてしまったり……。
肝心な影山はというと及川による揺さぶりによる焦りが全面的に出てしまったことで、プレーは徐々にペースアップしていった。
ピッ
そんなときに告げられた交代の合図。
もちろん影山の後釜に出てきたのは菅原で、交代を告げられたことに苛立ちを見せる影山に一声だけかけて、自分自身も少し緊張した面持ちでコートへと足を踏み入れていた。
「…………お、孝支か。いいね。」
無意識に漏れた言葉に及川がぴくりと反応し、鋭い視線をこちらに向ける。
「………何が"いいね"なの?あの爽やかくんセッターでしょ?まさか……」
愕然とした表情の及川ににこりと笑顔を返すと、及川はあからさまに不機嫌になっていく。
「………アイツのトスは精度は高くはないが、よくチームメイトを理解している。………そういう意味ではお前と少し似てんのかもな。」
「………やめてよ。一緒にしないで。」
端正な顔を歪ませて菅原を睨み付ける及川の背中をポンと叩き、そっと言葉を伝える。
"それでも、お前がNO.1セッターだよ"
途端に嬉しさを全面に出した表情にかわる及川。
「___さっさと勝っちまおうぜ」
「うん!」
菅原の投入により、息を吹き返した烏野は、丁寧な攻撃で得点を重ねていく。
菅原は普段影山の圧倒的な光の影に隠れていて見えないが、実はそれぞれの選手たちの特徴を掴みつつ、あの快活な雰囲気でチームを盛り上げられる選手だと思う。
菅原はチームメイトを心の底から大事に思っている。
………やっぱり、アイツのトスは好きだな。
「悠っナイッサー!!サービスエース、頼むよー☆」
及川のうざったいウィンクとともに再び回ってきたサーブ。
すぅ、と息を肺に送ると、俺はエンドラインから飛び立った。
_____Jealousy feeling.