第9章 初陣
「悠~~!リベロ吹っ飛ばすなんて、さっすがだねぇ☆」
「うお!お前、マジ格好ぇな!!スゲェッ!!」
その中で誰よりも喜んでいたのが及川と岩泉で。
二人の笑顔に包まれた俺も気がついたら笑顔になっていた。
ドガッ
「__くっ!?」
再び弾かれコートの外、遠くへと飛んでいくボール。
「これで3本目だな。さすがに烏野のリベロも堪えてんじゃねぇか?」
その後も3回連続でサービスエースを決め、烏野のリベロとの攻防戦を繰り広げているのだが………
「………よく見ろ、一。あれが、堪えてるヤツの眼か?」
岩泉の視線が烏野コートに向けられ、程なくして俺へと戻ってくると、フッ、と不敵な笑みを浮かべた。
その間も俺の視線は烏野のオレンジのユニフォームから逸れることはなく
「…………悠の言う通り、あっちも大概だが、俺からしたらオメェの方がよっぽどギラついてんじゃねーか。」
まるでライオンが獲物を見つけた時のような目付きを烏野のリベロへと向ける俺の姿に、岩泉はゾクリと体を震わせる。
(___この迫力は、まさに"帝王"そのものだな。)
くくっと笑いながら去っていく岩泉の背中をちらりと横目で確認すると、再びサーブを打つべく審判に目を向けた。
ピッ、という審判からの合図を受けると、先程よりも少しだけ緩やかに体を踏み込ませ、高く存在するボールを打つ。
ド、__バン
ボールは回転することなく風を切り、烏野コートで今か今かと俺のサーブを待ちきれぬ様子のリベロの元へと飛んでいく。
ク クン
真っ直ぐに飛んでいたボールは、リベロの元へと届く前に軌道を大きく歪める。
その瞬間、烏野のリベロの口許に笑みが浮かんで。
___トンッ
類い稀なる反射神経で、軌道のズレに瞬時に対応したリベロくんがボールの勢いをいなし、高く上げた。
「…………チッ」
………やっぱりフローター(*ジャンプフローターサーブ)じゃだめか…
取られたことに舌打ちをしながらコート内に戻ると、リベロくんが上げたボールは、岩泉たちのブロックが追い付く間もなく影山と日向の神業速攻として烏野サイドに加点を許した。
____Breakthrough.