第9章 初陣
連続3失点に焦りを見せる烏野メンバーたちだったが、またしても澤村の的を得た言葉により平常心を取り戻していた。
……大地みたいに一見地味に見えるやつらが、そのチームの基礎を固めていくんだよな。
翔陽や影山も厄介だけど、俺からするとああいう奴らのがよっぽど厄介だわ。
じっと見つめる先の澤村は選手それぞれの性格を捉えた上で声かけをしている。
しかし、青城だって負けてないわけで。
うちのは一見派手だけど、実は細かいところをよく見てて、俺らの力を100%引き出してくれる奴がいんだ。
…………ムカつくアホの塊みたいな奴だが。
そのアホに視線を向けると、影山による挑発丸出しのツーアタック返しにより、怒りを露にしていた。
「次も同じのやるんで、ちゃんと警戒してくださいね。」
「………………この、くそガキ。」
及川もさることながら影山も相当、及川を意識し、熱くなっている様子が伺える。
「………次、飛雄のサーブ。……絶対止めるから。」
自分に言い聞かせるように呟いた及川の言葉に頷きを返すと、腰を低く下げレシーブの構えをとる。
及川や俺には劣るが影山のサーブもそれなりに強烈である。きっと影山が俺を狙って打ってくることはないだろうが、烏野に遊びに行った時に見た限りではコントロールはまだまだな様子だったので、油断はしない。
____が、
影山の打ったボールは俺の予想とは大きくズレた放物線を描き、エンドラインの遥かかなたへと飛んでいった。
「盛大にフカしたなー。」
「なんて凄いホームランだ!」
「あーぁ。徹があんまり影山を煽るから力んじまったじゃねぇか。……つまんねぇの。」
「あら?悠ってば自分で拾うつもりだったの?ヤル気満々じゃーん♪」
「……チッ…うぜぇな。お前………とっとと、サーブ決めてこい!バカ!」
「んなっ!?悠ヒドイ!!………しょーがないなぁ。それじゃあ、お手本を見せようか。」
ピリッとした空気を纏い、及川がエンドラインへと立つ。
俺と岩泉は一瞬視線を重ねると、小さく頷き合い、持ち場へと戻る。
____It is detonated by contact.