第9章 初陣
【 及川side 】
重なった視線。
すっかりコート上の獣と化した悠の眼がギラリと光る。
「……………徹。一発め、寄越せよ?」
有無を言わさない程の迫力で放たれた言葉は、"yes"以外の答えを許さない。
「もちろん♪……飛雄ちゃんたちをビビらせちゃってね!」
「………あぁ。任せろ。」
悠の視線はネットの向こうの反対コートにまっすぐ向けられ、その全身から放たれる強者のオーラは、まさに"帝王"の風格そのもので。
悠。
やっとお前を飛ばせてあげられる。
…………届けるからね。
ピーーーーッ!
「月島ナイッサー!」
試合の開始とともに烏野のノッポ眼鏡くんから放たれたボールが弧を描き、こちらのコートに跳んでくる。
「マッキーっ」
「ナイスレシーブっ花巻!」
さあ、悠
俺のトス、受け取ってよ?
___I want you to receive it.