第9章 初陣
「「_____悠っ!!」」
両端にいる二人の目が見開かれていて。
そんな二人にニカッと笑顔を向けると、固まっていた及川達の表情もだんだんと笑顔に変わっていく。
「な?そうだろ?」
「もっちろん!!そんなの言われなくても、だよ!!」
「あったりめぇだ!!バーカ!」
そのまま3人笑いあって。
それぞれが同じく未来の栄光を目指して胸を熱くした。
ついに足を踏み入れたコートの上、ウォーミングアップを始めた俺たちは及川のトスの元、スパイクの感覚を高めていく。
「いいじゃーん!!マッキー!キレッキレだねー!」
「ごめん金田一、今のは少し高かったね。」
「岩ちゃんちょっと力んでない?良いとこ見せようとしなくていいんだよ!女の子は誰も岩ちゃんなんてみてないからね!」
ブチッという音とともに般若のような顔をした岩泉が及川の顔面めがけてボールを投げようとし、それを金田一が必死で止めていた。
自分の番がなかなか訪れないことにイラつき始めた俺は、左手で楽しそうに笑っている及川の頭を掴むと飛びきりの笑顔を向ける。
「…………おい。てめぇ……俺様をいつまで待たせんだ。…あ?」
「痛"だだだだだっっっ!!!もぉ~~~分かってるってばぁ~。……悠の短気!!しかも、左手!!」泣
頭から手を離した俺はフン、と息を吐くと、助走を取るべくエンドラインの近くまで下がる。
「………お待たせ。じゃ、悠………行くよ?」
「………ん。良いトス寄越せよ。」
俺の言葉にニコリと微笑む及川。
まだウォーミングアップだというのにドクンドクンと強くなる鼓動。
キュ、
キュキュ、____ギュッ
ふわりと上がったトスをめがけて天へと飛び上がる体。
左手にボールが当たると同時に伝わってくるボールの反発力を、降り下ろした腕の反動で打ち返す。
___ド、ガンッ!!
綺麗に決まったストレート。
床に叩きつけられたボールは観客席へと飛んでいき、危うく立っていた他校の女子にぶつかるところだった。
___Warm-up of the patience.