第8章 開幕
にっこりと微笑を向ける俺に、意を決したらしく決意を表明する国見の頭をポンポンと撫でながら、体に引っ付いているバカを力ずくで剥がし、床に投げ捨てる。
「___んぎゃっ!!ちょ、悠!!痛いでしょ!?」
「おーい。徹。いつまでも床で寝てないで、早く行くぞ~。」
「んな!?ちょっと!置いてかないで~~~~!!」泣
……ん?
何か聞こえたか?
ま、気のせいだろ。←
_____インターハイ予選、第2試合。
青城が対戦する大岬高校は、それなりにまとまったチームではあるが、正直実力で言うと青城の方が頭一つ___いや、体一つ分程ずば抜けている。
試合が開始され、徐々に引き離されていく点差に、大岬高校の選手達は焦ると同時にあきらめに近い感情を抱いているように見えた。
そんな様子をベンチに座り、つまらなそうに眺めていた俺は、隣のコートで烏野対伊達工業の試合が、烏野勝利で幕を閉じたことに安堵感を覚える。
「お、烏野勝ったみてぇじゃん。」
「……ちょ、悠さん……試合中ですから。ちゃんと自分のチーム応援してください。」
隣に座る矢巾から注意を受け、はいはい、と返事をする俺。
そんな俺を見て困ったような表情になる矢巾の背中をポンと叩きながら笑顔を向けると、つられて矢巾も笑顔を返してくれる。
……徹たちには悪ぃけど…・・・…
俺、こういう試合嫌いなんだよね。
こっちが強いのはいいんだけどさ、相手チームが諦めモードになってんのとか
本当に嫌なんだよ。
_____Stable strength.