第8章 開幕
「……あれっリベロがいるねぇ。練習試合の時はいなかったのに
」
いつの間にか機嫌も直っていたらしく、及川は楽しそうにコートを眺めていて。
「……なんかデカい奴も増えてんな。」
その声に返事を返したのは岩泉で、その隣に立っている金田一と並びコートを眺めている。
「…んでもってあそこにいんの、コーチか何かか?」
「多分そうだよね~。……ま、烏野に誰が増えようが勝つのは俺達だけどねぇ♪」
俺の言葉ににっこりと笑顔を返す及川に、俺と岩泉は一瞬眼を見合すと、だな!、と2人合わせて答えた。
ピー――ッ
公式ウォーミングアップを終える笛の音が鳴り響き、コート上の選手達が向かい合い、整列した。
いよいよ始まるインターハイ予選に高鳴る胸の鼓動。
きっと、この会場にいる選手の全てが同じように高鳴らせている。
ピ―――ッ
再び鳴り響いた笛の音によって予選第一試合の始まりが告げられる。
「……悠。」
名前を呼ばれ振り向くと、いつもと異なる真剣な表情で俺を真っ直ぐに見つめてきた及川の瞳とぶつかる。
「行くよ。……全国。」
及川の言葉に、フッと小さく息を吐くと、手を伸ばし及川の筋の通った鼻を摘むとすぐに聞こえてくる抗議の声。
「痛゛っもぉ~何?こっちが真剣に「言われるまでもねぇよ。…ただし、目指すところは全国じゃねぇ__”優勝”ただ一つだ。」__っ!……うんっ!」
目指す高みへの入り口の扉は開かれてる。
大丈夫。
俺が必ず、お前達を優勝へと導くからさ。
____コートの上では、初っ端を田中が派手に決めていた。
『うおぁぁぁあっ!』
『らあぁあっ!』
点が入りリベロと一緒に雄たけびを上げる田中に澤村と菅原のツッコミが入るが、すぐに審判から指導が入り、頭を下げている姿に、俺は腹を抱えて笑っていた。
ちょっ!大地たちまで指導入ってんだけどw
マジでウケんな~烏野w
出だしから色々飛ばしてんなぁ
隣では呆れ顔の及川がつまらなそうに欠伸をしていた。
___Aiming at the height.