第8章 開幕
____体育館の中に入り、観客席へと向かう途中、眼に飛び込んできた黒のユニフォームの選手達。
「あーーっ!!銀鏡さんだっ!!……それにラッキョヘッドもっ!」
一際目立つオレンジ頭のチビッ子こと日向が、両手をブンブンと振りながら、ぴょんぴょんと跳ねている。
「おー!翔陽~!頑張れよー。……つか、勇太郎。ラッキョヘッドって………ブハッ」
地味にツボに入った金田一のアダ名にクックッと、口許を押さえ笑っていると、横から、ずい、と及川が現れ影山達にピースサインを向けていた。
「やっほー☆飛雄ちゃんに、チビちゃん。元気に変人コンビやってる~?」
「……徹、邪魔。うざい。」
「んなっ!?悠ヒデェっ!真顔で言わないでっ!」ゲーン
なおも煩く騒ぎ立てる及川を無視していると、コート上から自分を呼ぶ声が聞こえ、振り返ると視線の先にいたのは菅原と澤村の姿。
「孝支も大地も頑張れよー!前より強くなってんの期待してっからー!」
「おー!ありがとなっ!……必ず勝って、そこまでいくから、楽しみにしとけよ!」
コート上の二人は笑顔を向けてきて。
澤村の嬉しい言葉に俺は思わず笑顔になっていく。
「………早く勝って、俺を楽しませてくれよ?」
澤村達に挑戦的な笑みを向ていると、隣にいた及川が不機嫌丸出しな表情で烏野メンバーを見下ろしていた。
………はぁ。
どうせ、俺が烏野の奴らと仲良くしてんのが嫌だっつーやつだろ。
っんとに、めんどくせぇ奴。
……ま、多分、徹がこんな風になるくらい、俺がNYにいたとき連絡しなかったことが、トラウマになったんだろうけど…。
及川の様子に察しがついていた俺は、小さくため息を漏らすと、その頭をポンポンと撫で、嗜める。
「………悠……俺、嫌だ。」
心許なく吐き出された言葉に頷いて。
「……わかってるから。……せっかくのイケメン面が台無しだぞ?」
ぎゅう、と腕を掴んできた及川に困ったような笑みを向けていると、なおも拗ねた様子の及川はそのまま椅子に座り込んでしまった。
__Wonderful reunion.