第8章 開幕
……あんのバカ川ぁ……
大事な初戦だってのに、女相手に現を抜かしやがって……
絶対ぇ、シメるっ!
___しかし、
俺はこの時の判断を死ぬほど後悔することになることに気づいていなかった。
入り口に辿り着くや否や
瞬く間に、大勢の女子らに囲まれた俺。
気が付いた頃には、プレゼントだの、サインくれだの、写真だの、女子の黄色い声が飛び交っていて
「_____え?ちょっ、待って___」
『銀鏡様ぁぁぁああああ!!!きゃああああああ!!!』
『#NAME2 #くぅんっ!!これプレゼントですぅvVvV』
『こっち見てぇ!#NAME2 #さまぁ~!!大好きですぅぅぅvVvV』
状況の理解が出来ずに戸惑っている間にも広がっていく俺を囲む女子らの輪。
俺に近寄れず悔しがる女の子の中には、遠くから写真だけでもと、スマホを高々と上げ、シャッターを押している状況。
「あらら~?悠やっと来たの~?皆、俺と悠のツーショットを期待してたみたいだよ?」
あまりの勢いに唖然とする俺の耳にムカつくのんきな声が届き、ハッと意識を戻した俺は、今まで驚きのあまり忘れていた感情を取り戻すものの、俺の”紳士モード”が邪魔をしてしまい、状況を打開できずにいた。
「___っおい!徹っ!ちょ、どうにかしてくれ!」
「……しょうがないなぁ~。大好きな悠のお願いとあれば聞いてあげよっかな♪」
すがるような目線の俺に、気を良くしたらしいクソ川はムカつくイケメンスマイルを振りまきながら、俺を取り巻く女子の波を割り近づいてくると、そのまま俺の肩に手を置きピースサインを作る。
その及川の行動を何かと思い不思議に思っていると、耳を疑う言葉が俺の耳へと届いてきた。
「___さ、皆が期待していた俺と悠のツーショットだよ♪好きなだけ写真撮って___」
バッガーン!!!
『ギャアァアァっ!?及川さぁん!?』
____Demon's appearance.