第8章 開幕
今日から始まったインターハイ地区予選
予選Aブロックの俺たちは、会場である仙台市体育館へとたどり着いた。
「………おい、あれ青葉城西じゃねえ?」
「うお、まじだ………!つ、つか……アイツって……選抜代表の銀鏡っ?!すげー!青城に入ったってマジだったんだな………!」
「きゃあっ!生銀鏡くんッ超格好いい~vV」
俺たちの登場に他校のメンバーたちがざわめき始めるも、特に気に止めることなく歩みを進めていくも、奥に進むとそれに比例するように増えてきた人とその声に無視することも難しくなるほど辺りは騒然とし始めていた。
「……ったく。今年はいつもに増して凄ぇな…。おい、悠。オメーのせいだぞ。」
「あ?んなこと俺に言われても……あれ?徹は?」
俺の肩に手を載せながら呆れ顔を向けてきた岩泉に困ったような笑顔を返す俺だったが、隣にいたはずの及川の姿がいつの間にか消えていることに気づき、辺りを見回す。
「……あの、悠さん」
すると、俺の後ろを歩いていた矢巾が申し訳なさそうな顔つきで、俺に声をかけてきて。
その様子を不思議に思いたずねると、矢巾は言いにくそうに言葉をつむぐ。
「お、及川さん……入り口のところで他校の女の子達に捕まってました。」
「……は?…え、何それ。ナメてんの?あのバカ川さんとかいう奴。……なぁ、一ぇ。俺、ちょっとバカんとこ行ってシメてくるわ。」
「おー……。俺の分までキツめにたのむぜ。」
取り付く島もない幼馴染の所業に、笑顔のまま額に青筋を立てている俺と岩泉の姿に、恐怖を覚えたらしい矢巾の体がビクリと跳ねる。
そんな矢巾の頭をポンポンと撫でながら通りすぎると、金田一が俺の後を追って来ようとしている姿が視界の隅に見えた。
「悠さんっ俺も____」
「……いいよ、勇太郎。お前にまで煩わせるわけにはいかねぇし。……ありがとな。」
それでも俺に付いて来ようとする従順な金田一に後ろ手を振りながら、俺は足先を元来た道へと向け、アホ川がいるであろう入り口を目指す。
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