第8章 開幕
「……悠…っ!」
「……だって俺、そのためにNYから帰ってきたんだし。俺のポジションどーこーより、このチームで勝ち進んでいけるベストな形を作るほうがよっぽど大切だろ。」
肩を掴む岩泉の手に力が込められるのと同時に俺を見つめていた岩泉の瞳が一瞬揺れた。
そんな岩泉に応えるように笑みを向けて。
「……行くんだろ?全国。……そんでぶちかましてやろーぜ?テッペン取ってさ。」
一瞬、見開かれた岩泉の瞳。
すぐに再び闘志をたぎらせ、ニイと笑みを返してくれて。
「……あたりめぇだ。お前に言われるまでもねぇよ。バカ。」
同時に出された拳が重なると、周りにいた花巻たちも一斉に口を開き、辺りは騒々しさを増して行く。
「……。」
そんな中、ただ一人及川だけは唇を噛み締め、苦渋の表情を浮かべていた。
____Decision.