第8章 開幕
「1番、及川、セッター!」
「はーい♪」
呼ばれた及川はいつもの調子でムカツク笑顔を振り撒きながら手を振っている。
「2番、松川、MB」
「うす。」
「3番、花巻、WS」
「ウッス。」
ちらりとこちらを見てきた花巻に頷いてみせると、ピースサインが返ってくる。
「4番、岩泉、WS___」
「はいっ!」
トン、と肩に乗せられた岩泉の手。
その目にはすでに闘志が籠められていて。
やっぱり、こいつもエースなんだなって嬉しくなった俺は笑顔を返す。
「次っ12番、金田一、MB___」
「___っ!はいっ!」
少し緊張した面持ちの金田一に二カッ笑みを向けると少し照れのある笑顔を返された。
「7番、渡、リベロ____」
「はいっ!」
ここまでスターティングオーダーを読み上げた入畑が、一呼吸置き、再び口を開く。
「そして最後に……5番、銀鏡___
”WS”
」
その言葉を聴いた瞬間、全ての選手達の表情が唖然としたものへと変わる。
「は?!悠が”WS”!?…スーパーエースじゃねえのかよっ!?」
「どうゆうことっすか?!それって悠さんに守備もやらせるってことっすか?!」
衝撃的な発表に騒然とする一同。
「___っお前っ!!いいのかよ!?守備はやんねぇんじゃ___」
俺の肩を掴み、驚愕と言える表情で迫ってくる岩泉の眼を真っ直ぐに見つめ、向き合う。
「…ポジションなんて、そんなのどうでもいいんだよ。……俺は、どんな形であってもお前らと全国に……いや、全国制覇するためなら何だってするさ。」
___Impact.