第7章 仲間
「なっ!?それは本気で言っているのか!?お前はそれで……!?」
俺の肩を掴み必死な形相で詰め寄ってきた溝口に、困ったような笑みを向けながら頷いてみせると、溝口は顔を歪め俯いてしまった。
「……いや、そんなにコーチが落胆するようなことではないですから。……俺がチームが勝つためにそうすべきと判断したまでです。……でも、正直なところ、コーチも俺と同じように考えていたんじゃないですか?」
「___っ」
俺の言葉に顔を歪めたままの溝口の体がピクリと跳ねる。
「………………すまない。」
ようやく開かれたその口から吐き出された音は、とても頼りなく小さいものであった。
俺は顔を左右に振りながら、溝口にニカッと笑顔を見せる。
「俺自身がどうこうよりも、俺はこのチームで全国制覇したいんです。……そのためなら、俺は何だって出来ます!」
俺を見つめていた溝口の瞳が揺れる。
「……そうか……。ありがとな……銀鏡。」
いいんだよ。別に。
大したことじゃないんだって。
思う存分俺のバレーをするならば、俺には選抜代表という場所があるわけで。
青城で……徹や一のいるこのチームで、
頂点に登り詰めることに意味があるんだ。
アイツらと一緒に、頂の景色ってもんを味わいたいんだよ。俺は。
だったら道は1つだろう?
溝口と共に入畑監督の元へと歩み寄る。
俺の思いを告げると、入畑は少し黙りこんだ後、そうか、と小さく頷く。
「……銀鏡。お前から言ってくれて正直なところ助かった。……すまないが、今のうちではお前を頼らざるを得ないんだ。」
「何言ってんですかっ!俺はこのチームを全国制覇させるためにわざわざNYから帰ってきたんです。………だから、一番チームの力になれる形で俺を使ってください。」
そう言い放ち、頭を下げる俺を沈痛な表情で見つめていた入畑は、ふぅ、と小さく息を吐き出した。
「ありがとう………銀鏡。……ようやく腹を括れたよ。今回のインターハイは_____」
___Decision of distress.