第7章 仲間
___いや、ちょっと待て俺よ。
せっかくいつも食うだけで何もやらない徹が料理をしたんだぞ?
誉めるべきではないのか?
ほら、よく子どもは誉めて伸ばせとか言うだろ?
これもあれの一貫なんじゃないかって思うわけよ。
揺れる俺の心。
さぁ、どう対応すべきか_____
「はい♪どーぞ♡」
味見用の小皿を手にクルリと振り返ったムカつくイケメンスマイルの及川に、ゆっくりと歩み寄りその頭に手を乗せた。
先程の脳内会議の結果、俺の取るべき行動が決まった。
「…………徹。ありがとう。………正直お前が俺の家で料理をすることは想像してなかったからビビったけど、嬉しかったよ。」
そこまで言ってからにっこりと笑顔を向けると、キラキラと輝く及川の目。
「悠…………///!俺、頑張ったんだよ?もっと誉めて誉めて~?」
及川の手から小皿を受け取り、口に含むと広がったカレーの香り。
……まぁカレーのルウを使って作ってんだからこんなもんだろ。
普段何もやんねぇ徹が作っただけ偉いわな。
まあまあな出来栄えに頷くと、さらに嬉しそうな表情に変わった及川。
俺はその跳ねた髪を撫でていた手を止め、再び口を開く。
「……………で、徹くん。1つ質問なんだが____」
「ん~~?__っ痛"だだだだだっ!?!?」
微笑みは崩さぬまま、頭をつかむ指先に最大限の力を入れ捻り潰していくと、及川が痛みに悲鳴をあげる。
「何でっ?!!悠っギブギブギブギブ~~~~!!」泣
「……何でもくそも俺様のキッチンをぐちゃぐちゃに汚しやがって………いい度胸だよなぁ、徹……。もちろん、元通り綺麗な状態に戻してくれんだろ?」
痛みに潤んだ瞳の及川が必死な形相で頭を縦に振り、その様子に満足した俺は、ふぅ、と小さく息を吐いた。
______carrot and stick.