第3章 帝王
「…………そんなにすげーのか?」
「何だったら松川くんもどう?」
「……………いや、やんねー…………すげー痛そうだし。むしろ、及川が受けた方がいいんじゃねぇ?」
お、松川くんナイッサー!
「………じゃ、目隠し用意しとくか。」
「__い、岩ちゃん!?俺の死亡フラグ立てないでっ!!」
必死に岩泉を止めようとする及川。
さすが、岩泉………心得まくってんな。
やるな、相棒……っていかん!俺、許してないんだった。危ない危ない。
まあ、そんなこんな?で着替えを済ました俺たちは、バレー部が使う体育館へと足を踏み入れた。
さすが、強豪校。
部員も多いな、なんてぼんやり考えていたら、肩をがしっと掴まれた。
何?何?って振り向くと監督らしきオジサマ。
「君が銀鏡悠くんだねっ!?君が我が校のバレー部に入ってくれるなんて百人力だ!!ありがとう!!私が監督の入畑だ。」
目を見開き食い付き気味で言い寄ってくる姿に、少し戸惑う俺。
そんな俺に追い討ちをかけるようにもうひとつの声が響く。
「すげぇな……超高校級の中でも最強の名を欲しいままにしている"帝王"、銀鏡か……。敵だととんでもねぇが、身内だとめちゃくちゃ頼もしいぜ。……よろしくな、銀鏡。あ、俺コーチの溝口ね。」
"帝王""最強"という言葉に周囲がざわつく。
………あんま好きじゃないんだけどなぁ、それ。
俺が一人でバレーやってるわけじゃねぇし。
仲間いてなんぼでしょ?
ま、スパイクだったら、最強なのは認めるけどね。
だって、そう呼ばれても良いってくらい、鍛えたし、死ぬほど練習したもん。
「監督、コーチっ!始める前にコイツの自己紹介がてら、一発、いいですか?」
ニヤリと笑う及川。
あ、いたんだ。
まじで、気づかんかったわ……スマン。
「………!ああ、むしろ、こっちからお願いしたいくらいだ。いいかい?…銀鏡?」
頷く俺。
何故か満足げな及川の顔を見ると、にこりと笑顔を返された。
………んだ、その笑顔。
イラっとすんな。とりあえず、スルーだな。
___declaration of war.