第6章 奇襲
大分間を開けて聞こえてきた小さな声に、クックと笑いながら俺は及川の機嫌を取るべく要求を飲む。
「………はいはい。ガリガリくんのコーンポタージュ味ね。買ってくわ。…あ、あとこれから一も来るってさ。」
『……え、岩ちゃん……?何で?』
「あ?何でかは知んねぇけど……あと、夜飯何食いたい?」
『ふふっ及川さんが特製カレー作ったから心配しなくて大丈夫だよ。』
「ん。カレーね。わかっ…………は?"作った"って……?お前がっ!?」
信じがたい及川の言葉に激しく動揺した俺は、及川の言っている意味がしばらくの間理解できずにいた。
ふ、普段つまみ食いする程度しかキッチンに寄り付かないヤツが、カレーを作っただと………!?
飯は俺が作って当たり前と思っている、あの及川徹がカレーを……!?
『………ねえ、今悠失礼なこと考えてたでしょ~?やだなぁ、俺だっていつも悠に作らせてばっかじゃ悪いと思ってるんだよー?………それに、昔から男を落とすにはまず胃袋を掴___ピッ
最後の方はどうでもいい内容だったため、用の済んだ俺は電話を切ると、岩泉と待ち合わせしているコンビニを目指し歩き始めた。
再び俺のスマホがアホ川からの着信を伝えるべく振動していたが、スルーを決め込み、持っていた鞄の中へと突っ込んだ。
___Usual.