第6章 奇襲
「「なっ!?そんなぁ!1回だけでも……っ!」」
俺の返事にあからさまに落胆する2人は、なおも食い下がり俺へと詰め寄り、仕舞いには、2人が俺の両腕を引っ張り出す騒ぎになってしまった。
「銀鏡さんっ!!サーブだけでもっ!!」
「いやっ、コイツはいいんで、俺のトスをっ!!」
「……………おい「なっ!?コイツはいいってどーゆーことだよ!?影山てめぇっ!!自分だけズリィぞ!」「はぁぁあ!?日向このクソボケェっ!サーブは俺が教えてもらいてぇんだよ!!ボケェっ!!」………おい、ちょっと待「んだとぉ!?クソ影山ぁ!!」……。」
すみません。
俺にはもう、どうにも出来そうにありません……。
徹、一………俺、もうダメかもしれない……。
「こらっ!お前らいい加減にしろっ!!」
「バカ二人っ!!悠の顔が死んでるからっ!!悠を挟んで喧嘩すんじゃないよっ!!」
まさに"大岡越前裁判"と化した状況に、菅原と澤村の救いの手が伸ばされるが、ヒートアップした二人は俺を挟んで殴り合いの喧嘩になっていた。
「____いい加減にしなさいっ!!」
突如、体育館に響き渡った声_____
皆一斉に声の主へと顔を向けると、その先にいたのは女神___否、烏野バレー部のマネージャーらしき女子の姿があった。
「きっ潔子さん………っ!!!」
その場にいた全員が黙り込む中、坊主頭くんが唖然とした表情のまま口を開いた。
「………銀鏡くん、困ってるから!」
本気で訴えるその姿に、一同の心は打たれ、同時に俺の腕を引っ張っていた日向と影山の手も離れていった。
………何だ?
彼女は女神なのか……?←
「………君……」
女性を前に即座に"紳士モード"のスイッチが入った俺は、ゆっくりと彼女の元へと近づくと、その艶やかな黒髪を優しく撫でた。
「名前は……………?」
目を見開き俺を見つめる彼女の頬は、徐々に紅に染まっていく。
「………清水…潔子……///」
____Savior.