第6章 奇襲
【 菅原side 】
試合終了となる25点まで残り2点___
「ほいっ」
月島のサーブを軽くいなして、俺のもとへ返ってきたボールをツーで烏野サイドへと返す。
ちらりと悠を見ると、楽しげな笑顔を見せながら反対コートをギラギラとした獰猛な瞳で見つめる悠の姿に思わず口許が緩んでしまう。
今更だけど、俺………
すげぇ奴と同じコートに立ってんだよな……
間近で見る悠のプレーは今まで見た何よりも凄くて、巧くて、
____綺麗。
彼がスパイクモーションに入ると、自分がコートに立っていることを忘れ、見入ってしまうほど悠のスパイクはその威力も、技術も神がかり的であった。
大地のレシーブによって上がったボールは、影山へと渡る。
それと同時に走り出す田中と日向。
あと2点でゲームセットというこの場面。
必ずアノ速攻がくる、と感じた
その時___
キュ__キュキュッ
コートの中心にいたはずの悠の姿が消え、
いつの間にかネットのすぐ近くへと迫っていたその体。
バシンッ
_____ドバンッ
「__________っ!!?」
え____
今、悠………が___
「っしゃあ!」
唖然とする俺の横でガッツポーズを取る悠と目が合う。
「孝支~。俺のドシャット、どーよ?」
満面の笑みでこちらに拳を向ける悠。
だんだんと込み上げてきた感情に震える体。
___Masterpiece.