第6章 奇襲
【烏野高校side】
事態の把握が出来ずにいる武田に清水は悠に向けていた視線を一瞬だけ武田に向けると、そっと口を開いた。
「……今のは……銀鏡くんが、スパイクを打つ瞬間に手首をひねって軌道をインナーへと変えたんです。」
「えっ…!?そ、そんなことって簡単に出来ることなの!?」
「……いえ……。簡単じゃない……。インサイドに打ち込むとコントロールが難しいので、うまくサイドライン内側に落とせないことがよくあります。……だけど、銀鏡くんは………それを意図も容易く……しかも、ネットの超ギリギリのインサイドスパイクを危なげなくコート内へと打ち込んでる。」
今もなおコート上で圧倒的な力の差を見せつけている悠を、固唾を飲み見つめる清水の姿に、隣にいる武田までも緊張感が走る。
「………そ、それほどまでに彼の技術は圧倒的……と言うことなんだね。………凄い……凄すぎるよっ!………そんな選手と練習という形で対戦できるなんて………!」
コートを見つめる武田の瞳がキラキラと目を輝かせる。
(きっと彼との出会いがこの子達を強くさせる………!)
_____Encounter miracle.