第12章 【淡い夢】
私は指を鳴らし、目の前にいる大勢の兵を…影で針のように刺し、殺す。
血で真っ赤になった、揺らめく影。
(ごめんなさい、ごめんなさい…)
泣きながらも、兵士の急所を外さず貫いていく。
ブレスの『瞬足』を使い、距離をつめて切りかかった。
死んでしまいたい。
なぜ、自分は兵を殺しているのか。
そう考えてしまうほど、人を殺すたびに心が削られていく。
「mirieng,qivcs,…fuhjy」
-永久の、永遠の、…安らぎを-
詩を聞いた兵は、眠るように死んでいく。
数々の屍の中、その中央に立っている私は、悲鳴にも似た叫び声を上げた。
両手で頭を抱え、膝を地面につける。
慰めるように、手の形をした影が私を囲む。
そして、優しく頭を撫でた。
覚えのある、優しい手。
(あぁ、…アルスト)
『シェリル…』
グサッ
「あ゛…っ?!」
「俺の国をこんなにして、酷い王女だ」
シエルの剣が、私を後ろから突き刺した。