第13章 【影】
シェリルside
* * * *
ジャーファルが、朝の衆議のため、部屋を出ていく。
部屋に取り残された少年は、スッと私を見た。
「君だったんだね…。いつも、彼の傍にいたのは…」
《…………》
完全にルフとなった私の存在に、前々から、気づいていた幼い少年、マギのアラジン。
薄い光の粒をまとい、姿だけ、彼の前に現す。
「君は、運命を憎むかい?」
《彼に出会えた運命を…? まさか…》
私は、死んでも幸せよ。
《例え、彼が私を見えなくても、心は繋がってる》
「そうかい…」
フッと姿を消し、衆議に参加しているジャーファルの元へ行く。
愛しい彼の肩に左手をかけ、微笑んだ。
永遠に、愛し続けます。
健やかなる時も、病めるときも…。
トルマリン色の指輪が、煌めいた。
ーendー