第12章 【淡い夢】
シェリルside
* * * *
「お前に、俺が殺せるか…?」
私の右手首を掴み、引き寄せ、冷たい目で見下ろされる。
けれど…意思が固まっている私は、怯むことなく見返した。
周囲を、私の白いルフがチラついている。
「本気みたいだな」
「当然だよ、シエル。私はもう、シンドリア側の人間なの。この国は護ってみせる、絶対に…」
「…どう足掻こうと、運命は変わらない」
そう、吐き捨てるように言って立ち去る。
シエルの大きな背中を見つめている内に、頬に熱い物が伝った。
声を殺しながら静かに泣く。
「…シエル、シエル…シエルっ」
私たちは、ずっと一緒だと思ってた。
何があっても、隣にいるのはあなただって。
お互いを支え合うのは、お互いしかいないのだと…。
(どうして、こんな事に…)
悲しみを宿した淡い青のルフは、慰めるようにチラついて。
彼の姿が見えなくなると、フッと消えた。
『俺たちはずっと一緒だ。絶対俺がお前を守ってやるから!!』
『二人で国を統一しよう。豊かで、争いのない、平和な国を…』
すべては、幻想だったというのだろうか。