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【マギ】ジャーファルさんに愛されて。

第12章 【淡い夢】


腕の中で眠っている彼が、可愛らしい子供のよう。
強引で、自分の欲を制御できない彼。
純粋で、優しく抱きしめてくれる彼。
さらさらの髪を撫でる。

(いったいどちらが、本当のジャーファルなんだろう…)

まぁ、どちらも私が愛する彼なのだけれど…。
ジャーファルの額にキスを落とし、自分の体を水で濡らしたタオルで拭く。
せっかくだから、今のうちに『白羊塔』に置いてきてしまった書類を終わらせよう…。

シュッ…シュル…ッ

官服を手馴れた手つきで羽織り、三面鏡のある別室へ。
三面鏡の前に置いてあるバニラの香水を、首元、手首に一度振りかける。
美味しそうな甘い香り。
ぐっすり眠っているジャーファルを起こさないように、部屋を後にした。

「…ふぅ…」

両手で抱えるほどの書類を、ようやく自分の部屋に運び終わり、一息つく。
ぐぅ…と、お腹が鳴り、恥ずかしくて一人笑った。

(…そういえば、朝ごはん食べてない)

時計の短針は12時を指している。
私は部屋を出て、食堂に駆け足で向かった。
今日は何食べよう、確か昨日は…。
そんなことを考えながら廊下を駆けていると、ある人物の姿が目の前を通り過ぎた。

「―――――ぁ…」
「……シェリル…?」


無慈悲で、愚かで…。

昔は優しかった、私の双子の兄。
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