第12章 【淡い夢】
すべてを喰らい尽くされる。
「あぁあ…っ!! いゃぁ…、……っふぁ…」
「感じますか? 私の愛が…」
中でドクドクと溢れ出ているのを敏感に感じ取ってしまい、私は「あ…、ぁ…」と声を漏らすことしかできない。
満足気な笑顔で私の中からモノを抜き取り、指で溢れ出るモノを掬い、舐める。
「私と…シェリルの、『味(愛)』」
「ひゃぁっ…んぅ…」
「やっぱり、…だらしなくなった方が可愛いですね…」
彼は自分の髪をかき上げ、赤い紐がくくりつけられた鏢を、天井から引き抜いた。
自由になった腕は麻痺していて、ズッと落ちる。
力が抜けて閉じることができない両足は、震えていた。
「ああ、本当に可愛い。…食べちゃいたい」
「…はぁっ…はぁ、…んっ、はぁ……」
「誰にも渡さない。…シェリル、おいで…」
呼んだくせに、私の腕を引き寄せて抱きしめた。
右頬を撫で、愛おしそうに私だけを瞳に映す。
まだ肩で息をしているのに、舌を絡ませてきた。
けれど、どんなに苦しくても『ジャーファルの手(愛)』から逃げられない。
「…ジャーファル」
「なんです?」
「私も…、愛してる」
「……やめてくださいっ」
幸せで、死にそうになる。
そう言った彼は、さっきまでの強引な態度から一変していた。
恥ずかしいのか、緩んだ口元を袖で隠している。
彼の首に噛み付いて、キスマークを付けた。
私がされた場所よりも目に付く所で、くっきりと残る痕。
目を見開き、何度も首をさすっている。
やられた…。といったような顔。
「…それが見られたら大変だね」
「……あ、ぁ…」
「淫らな政務官様…」
私は彼の左頬に手を当てて、さっきの彼のように嗤う。
立場が逆転し、立て膝をして彼を見下ろした。
そして、耳元で囁く。
「窮鼠猫を噛む…」
愕然としている彼を、抱きしめた。