第3章 目的を…。
「助けてくれてありがとうございました。いつか、また会えたなら、必ずお礼はします」
「本当に行くんですか?」
「…はい」
彼の表情からは、引き止めようとしている意思が伝わってくるけれど、私の意志は変わらない。
なのに、どうして彼の前だと決意が揺れるんだろう…。
部屋を出ようとドアノブを掴むと、銀髪の彼は手を重ねるようにグッと握られた。
「行かないで下さい…、人を殺せば、最も重い罰を受けることになります。あなたの師が、それを望んでいるとは思えない…」
「ごめんなさい。…次に会った時の為に、名前を教えてくれませんか? 私はシェリルです」
「…ジャーファルです」
それを聞くと、俯いたままだった顔を上げ、部屋から出て行った。
なぜか溢れてくる涙を拭って、宮殿から走って出る。
心臓がえぐられるみたいに苦しかった。
『行かないで下さい…』
彼の言葉、想像できる表情が私をさらに苦しめる。
(ごめんなさい、ジャーファルさん)
心の中で、何度も彼に謝りながら歩き続けた。