第2章 出会い。
私は睨みつけるような事もせず、無表情のままその横を通り過ぎる。
だが、顔には出ていないだけで、影は激しく揺らめていて、怒りに駆られているのは間違いなかった。
(国王のあなたに、一体何が分かる…)
大切な人を失う悲しみが、憎しみが。
そして、それが殺されたのだとしたら…。
ルフも体調も、支えなしで歩けるまでに回復した。
私から師匠を奪った奴らに復讐を…。
――――――さぁ、制裁を…。
* * * *
「青いルフ…」
「シン王、彼女…ルフを連れているんですか?」
彼女が横を通り過ぎた瞬間、彼女が纏っていた数量の青いルフが、真っ赤に変わった。
綺麗で純粋なルフが、怒りに満ちたルフに。
あの目はもう既に決意している目だった、こちらが何度言っても彼女は聞く耳を持たないだろう…。
(…彼女は危険だな)
「ジャーファル、あの子を監視しろ。彼女は人を殺す気だ」
「…はっ」