第2章 出会い。
「……ん…」
「気がつきましたか? ここは宮殿ですよ」
「…宮殿?」
体を起こして見ると、部屋は綺麗な装飾品で彩られていた。ベッドから降りようと足をつけると、ルフを切らした副作用なのか、足に力が入らない。
銀髪を持つ青年が慌てたように私の体を持ち上げてソファに座らせてくれた。
(…この人…)
「私を…助けてくれたのは、あなた?」
「ええ、そうです。あんな路地裏に隠れてらしたなんて、思いもしませんでした…」
「…助けたあの子がもし振り返って、私が死んでいるのを見たら、きっと『自分のせいで』と自責にかられて、泣いてしまうとおもったんです。少なくとも、私ならそうしてしまいますから…」
私は影から溢れているルフを見つけ、自分の足に取り込み、部屋を出る。
後を追うように青年が部屋から出てくる音がした。
澄んでいる空気に、輝いている景色、立派な兵。
外の広間とシンドリアを眺められる場所にたどり着く。
(…あの人も、この風景を見ていた…?)
「あまり出歩くと体に障りますから、部屋に戻りましょう」
「いえ、いいです。もう出ていきます」
「は――――――!?」
「殺さないと…やらなきゃいけないことがあるんです」
あの男に師匠を殺させた人間が、この国に紛れ込んでいる。
国王のシンドバッドという人には悪いが、この憎しみを…。彼の仇を打つ…。
「憎しみを憎しみで返してはいけないよ」
声の主を見ると、雰囲気が周りの人間と違う男が立っていた。
私でも分かった。
この人がこの国の王のシンドバッドだと…。