第10章 【奪われた幸せ】
主が眠っている部屋に入ろうとした瞬間、断末魔のような彼の声が聞こえた。
急いで中に入ると、シンが必死に彼をベッドに押さえつけているところだった。
「皆、危ないから離れてろ!!」
「私は大丈夫です、彼の従者ですから…」
シンの止める声も聞かずに、彼の頬に手を伸ばした。
真っ赤な…狂気を帯びた瞳に私を移した瞬間、シンを壁に突き飛ばして、私の腕をギリギリと握る。
「私の腕、握り潰して頂いて構いませんよ。私は『主』の従者ですから、殺すのも『主』の自由です」
「うわぁあぁああっぁ゛あ゛!!」
雷を纏ったバララーク・セイが、シンに向かって投げられた。
マスルールとシャルルカンがシンの盾になっているため、私が出る幕ではなかった。
けれど、私はブレスを使って2人に背を向けて両手を広げて立ちはだかった。