第10章 【奪われた幸せ】
「ジャーファル、お前…また…」
「シンを殺そうとしてたんですよ? 死んで当然でしょう??」
朝食を食べて部屋に戻ってくると、辺りは一面血で真っ赤に染まっていた。
あまりの光景、異臭に、口元にすぐ手を当てる。
出会って約2年経っても、彼の『悪癖』は直らなかった。
俺に仇名す者は何者であろうと殺しにかかる性癖。
「ああ、すみません、臭いますか? もっと最小限に押さえて殺せばよかった…、でも、コイツ等が暴れちゃって……」
「もういい、部屋を変えよう」
血まみれになった彼の手を引き、その部屋を出た。
その夜だった。
ジャーファルにあの傷を負わせてしまったのは…。