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【マギ】ジャーファルさんに愛されて。

第10章 【奪われた幸せ】


ブレスをテーブルの上に置き、いつも通りに自分の部屋で書類を片付けてると、窓の隙間から黒いルフが入ってきた。
私の青いルフたちは、警戒したように私の後ろに逃げるように飛んでいく。
すると、少年が窓を蹴り割って入ってきた。

「―――――はっ!?」
「てめぇか…、『マギ』でもねぇのにルフを操ってる女ってのは!!」

首をグッと掴まれて、床に押し倒される。
掴んでいる手にはまだ、力は込められていない。
部屋に飛び交う青いルフを見て、彼は「結構、綺麗な色だな」と言う。

「放して…、退いてもらえますか?」
「はぁ?」

イラついた表情で私を見下ろし、額に近い顔部分に手を当てられる。
彼の手の隙間から見える左目から、私の中に黒いルフたちがどんどん入ってくる感覚がして、ゾッとした。
ルフは、激痛を伴って肌を黒く侵食させていく。
抵抗しようと自分のルフを出し、影で彼を窓から外に投げ飛ばした。

「いってぇ……ッ」
「はぁ…はぁ……っ!!」
「シェリル、何の騒ぎですかっ!!」
「首…締めたわねッ殺してやるッ!!」

主が部屋に入って来たが、私は怒りに満ちて彼の言葉が耳に入らなかった。
窓から飛び降りて影で上手く着地し、影で短剣を作り上げて彼に向ける。
少年も怒っているらしく、私を睨みつけたまま空中に留まっている。

「こっちのセリフだ…、ぶっ殺してやるッ」
「シェリル!!」

ようやく彼の声に気づき、私の部屋の壊れた窓から目を大きく見開いて顔を出している主を認識した。
その隙に、彼は私に向かって黒いルフを向かわせていた。
ハッとして気づいた時にはもう遅い。
目の前まで漆黒のルフが迫っていた。

(やば―――――ッ)

ルフをできるだけ遮るように顔の前に両腕を組み、目をつぶった。
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