第9章 【日常】※脱線します
カフィーヤを脱ぎ、バララーク・セイを腕から巻き取って外すと、彼は布団を開けてベッドを叩いた。
「シェリル、入りなさい」
「嫌ですよ、早く寝てください」
「主の命令です、聞きなさい」
(ご命令とあらば…)
しぶしぶ布団の中に入ると、彼はすぐに私を腕の中に納めた。
冷えきっている彼の体を労るように、背中をさする。
「シェリルは温かいですね。湯たんぽみたいだ」
「…そうですね」
「今日は何をしてたんです?」
「禁酒を勝手に解禁したシャル先輩と大乱闘してました」
「乱闘!?」
彼は「はぁ…」とため息を吐いて、切ない顔をして私を抱きしめ言う。
「シャルルカンに妬きました。今日は此処で寝てください」
「はい……っ?!」
「傍に…いて下さい」
『約束します…私は、
傍にずっといます』
私が断れない一言を言われ、力なく「はい」と返事をして布団に潜り込んだ。
すぐにスゥー…と寝息を立てた彼の頬を撫でてキスを落とし、袖をギュッと掴む。
こうしないと、彼は安眠できないらしい。
「おやすみなさい、我が主…」
子供のような寝顔を見ているうちに、私は瞳を閉じていた。