第8章 【愛に飢えた狂犬】
『シェリル…』
歪んでいた。
確実に狂っている愛情。
それでもこの命、あなたに捧げましょう…ジャーファル。
(私の目には、あなたしか映らない…)
丁寧にお腹に巻かれた包帯に触れると、自然に微笑みが溢れる。
たとえあなたが狂犬だとしても、私は側に居続ける。
(主が私に付けた傷…)
彼は、愛し方が分からないだけ。
表現の仕方が分からないだけ。
どんなに狂気的でも、その感情の底には純粋な愛がある。
「ジャー……、主」
従者は、軽々しく主の名前を呼ぶことも許されない。
呟きでさえも。
…愛することは難しい…。
2人分の食事を、主が持って入ってくる。
「シェリル、食事持ってきましたよ。食べましょう?」
「はい…!!」
彼に伝わるように、私なりに愛していこう。