第8章 【愛に飢えた狂犬】
「私の指です、痛かったら噛みなさい。咬みきって頂いても結構ですよ」
「…ふぁ、ふ……」
咬みきることなんかできなくて、私は甘噛みしていた。
だが、激痛が走った瞬間、ガリっと強く噛んでしまった。
ジャーファルさんの「うっ」とうめき声が聞こえる。
「あ……ご、ごめんなさいっ」
「シェリル……」
首にバララーク・セイの赤い紐を巻かれ、強く絞められる。
無表情な顔からは、なんの感情も感じられない。
「シェリル、血が出ました」
「かは…っ!!」
「痛いです。私はこんなにも、あなたを愛しているというのに…」
意識が飛ぶ寸前で紐を緩める。
スカートをめくり、バララーク・セイを私の太股の内側辺りに刃を向けてすり下ろす。
両足から、大量の血が流れた。
彼を真っ赤に染め上げる。
「あぐッ!!」
「私とお揃いです」
血で染まった官服を足の太股までめくり、痛々しい傷跡を見せる。
私はただ怯えて彼の目をみていた。
「シェリル、主従関係を結ぶ契約をしましょう。 できますね?」
「……は、い…」