第6章 【かけられた呪い】
(シェリル…)
血だらけになった両手で彼女の頭部と胴体しっかりと…優しく掴む。
純粋無垢な彼女と…。
愛に飢え、発狂し、血に濡れた汚れた両手をしている私。
――――――あぁ、血生臭い。
(シェリルのブレスも真っ赤になってしまった。綺麗に磨いて返さなくては…)
彼女を抱き上げ、森を出ようと赤い紐を探す。
ちょうど魔女と彼女を見つけた時に長さが足りなくなって切り捨てた赤い紐。
月明かりに照らされて、はっきりと紐が見えた。
それを拾い、数歩歩んで、もう人間とは呼べない『それ』に振り返り、語りかけるように言う。
「あぁ、でも少しアンタに感謝してるんですよ? 私の寝ていた時ではなく、意識がある時に、『契約』をしてもらえますからね…。頬を染めて恥ずかしがって…嫌がる彼女に仕置きできる」
私は赤い紐を引きずりながら、宮殿へ彼女と帰った。