第6章 【かけられた呪い】
* * * *
(……シェリル)
木の上で身を隠しながら、座りながら、木に寄りかかって気を失っている彼女を見る。
口から少し血が出て、地面に小さな血だまりを作っていた。
この女が彼女に何かを飲ませていた、きっとそのせいだろう。
未だ私の居場所はバレていない…。
あの魔女の怒りがどの程度なのか知らないが…。
(私はアンタより、殺気と狂気で満ちている)
バララーク・セイを手に持ち、背を向けている女に向かって片方…右腹を貫き地面に突き刺した。
魔女のうめき声が聞こえ、こちらに振り返った所を、心臓に目掛けてもう片方の隠していたバララーク・セイを突き刺す。
赤い紐を引きながら、木から飛び降り、女の体を引っ張る。
「あ゛ッ、く…そッ!!」
「あなたは私を怒らせたんです。こんなものじゃ足りない…、もう跡形もなく刻んであげます」
ビュッ
『影』が、彼女の意識がないというのに揺らめいた。
そして、魔女をギリギリと縛り上げて離さない。
まだ怒りを宿している瞳には月に照らされて…まだ光があり、私はその両目をバララーク・セイで潰した。
「私のシェリルを、よくも、よくも、よくも。 私たちの契を、繋がりを…もう誰にも切らせない…」
「………………」
物言わぬ死体に何度も、『刃物で突き刺し、赤い紐を引く』その行為を何度も繰り返し、原型を留めていない『それ』を彼女に見せまいと、シェリルに歩み寄り、顔を隠すように胸もとに抱き寄せた。