第6章 【かけられた呪い】
「かは……っ!!」
「すぐに…、私の言うことを聞くお人形になるわ」
頭がぼんやりする。
薬を吐き出そうと指を口の中に入れるけれど、まったく出てこない。
吐き気だけ、残った。
(影ッ!!)
指をならし、彼女を影で拘束したまま、捻り潰すようにグッと…手の平に爪痕が残るくらい握った。が、
彼女は呪文をぶつぶつと呟き始める。
それと同時に、私の心臓が握られたような痛みが走る。
「あ゛あぁあ゛ッ…やめっ…!!」
「私はあなたにされる事を返しただけ、その心臓に…」
「…はっ……はぁ、はぁ」
影を引き戻し、木に寄りかかって下へ落ちる。
歪な含み笑いをしながら、私の胸ぐらを掴んで顔を寄せる。
「*************」
呪文が…自分の許可なく勝手に直接頭に入ってくる。
「私を……」
(嫌だ。私はジャーファルさんの元に帰るの…)
「…殺して───」
「殺してあげますよ、私が」
声を聞いた瞬間に、真っ暗な景色しか映さない目から、涙が出た。
間違えたりしない。
気配も、甘い香りも、声も…。
(…なんで……)