第6章 【かけられた呪い】
* * * *
「……此処…は」
夢に出てきた場所だった。此処で私は誰かに首を絞められた…。
(ジャーファルさんが待ってる…早く帰ろう)
血が流れ続けていた千里眼を元の私の目に戻し、右目を開ける。
泉に人の気配を感じて、瞬足で離れた。
「……あ〜あ、せっかく体を取ろうと思ったのに…」
「……誰」
「私は『アイル』…この泉に棲む、永遠の魔女」
アルストが一番嫌っていた呪術師の魔女だ。
呪術とは、『まじない』という意味。
相手を幸せにする呪術だってある。
けど、この人は『呪う』まじない専門で、なんとも思わず人を殺して転生する。
「世界中の優秀な呪術者に転生してたらね、あなたしか残ってなかったの」
「………」
「早速、頂きましょうか」
待ちきれないように舌をぺろっと出す。
気づけば私はあの時と同じように水面に立っていた。
体が動かない。
「痛くないから、動かないでね」
彼女は薬を無理やり私の喉の奥まで押し込んだ。