第2章 出会い。
(やっぱり私…、師匠がいなくちゃダメだなぁ…)
だんだん苦しくなっていく胸を押さえながら、薄暗い路地裏に逃げるように入る。
ゆがんでいく視界、下がっていく体温に恐怖を感じた。
「…ぜぇ……ぜぇ…」
「此処にいたんですかっ!!」
薄らとしか見えない目を向けると、銀髪をした青年が、今までずっと走っていたようで、息を切らせて立っていた。
感覚すら麻痺している手を伸ばすと、強く掴んで引っ張られ、抱き上げられる。
「…ぁ゛…」
「大丈夫ですよっ…すぐに助かりますから!!」
「………」
『大丈夫だからなー、すぐ助かるぞー』
師匠と同じ言葉に、フラッシュバックする思考。
(…師匠…)
私を抱き上げたまま路地裏を出て、走り出す彼。
最後に師匠に会えた気がして、涙を流して微笑んだ。
服をギュッと握り、それを最後に意識が薄れていく。
意識の向こうで、何度も頬を軽く叩き、私を呼んでいる声がした。
でも、まぶたが重くて開けられなかった。