第6章 【かけられた呪い】
* * * *
「シェリル、シェリル、シェリルッ!!」
どれだけ国中探しても、愛しい彼女は見つからない。
私に向けた眼差し、あれは何かを決意している眼だった。
それに、首筋にあったあの赤黒く変色していたアザ、きっとあれは呪術に違いない…っ。
(どうして主の私がっ、気づいてあげられなかったんだッ!!)
「ジャーファルさん、すぐに戻りますから」
ハッと、風に乗って聞こえたシェリルの声の方を見る。
いない、何処にも。
発狂してしまいそうな自分を押さえ込み、私は呪文のように呟き始めた。
「シェリルが帰ってきたら、すぐに両手足首に枷を付けて、鎖を自分の手に持っておきましょう…。首にはバララーク・セイの片方を巻きつけておきましょうか…ふふ」
そう言って、両袖に隠しているバララーク・セイを見ては、怯える彼女を想像する。
まともな思考をすることができたのは、それから数時間後のことだった。
彼女と交わしたこの契約痕で、居場所を突き止められないか、たくさんの資料を持ってきて調べる。
――――――溜まっていた仕事も、すべて終わらせてしまった。
「シンといい、シェリルといい…。本当に手のかかる人たちだ」
草模様の契約痕にキスをして、噛み付く。
ツゥっと溢れ出てくる血を舐め、シェリルへの仕置を考えつつ、頭を働かせる。
そして、有力な情報を見つけ、それを読むのに没頭する。
「すぐ行きますからね、シェリル」
口に付着した血を拭い、部屋を出た。