第6章 【かけられた呪い】
―――――ねぇ、シェリルの体を頂戴…
* * * *
「うわあぁぁ゛あ゛ッ!!」
目を開けると、全身汗でびっしょりだった。
心配しているように、青いルフたちが飛び回っている。
指先を向けると止まり、羽を閉じたり開いたりを繰り返す。
(……夢…?)
浴室に行って鏡を見ると、首には跡が一つもない。
ホッとして鏡を見つめていると、首周りがじわじわと黒ずんできた。
恐怖に声がでずにいると、アザのようなものは侵食を止め、そのまま黒ずみは残る。
足から力が抜け、座り込んでしまった。
(夢じゃないッ、現実、げんじつ、ゲンジツッ!!)
背筋が凍って止まらない震えを、両手で肩をギュッと握り、必死に抑え込んだ。
窓際にある椅子に座り、首をそっとなぞるように触れる。
くっきりと、デコボコもある。
(大丈夫よ…、私はジャーファルさんの従者なんだから。こんなの怖くない、怖くないっ!!)
ジャーファルさんの全身にあった傷、熱に苦しんでいる姿を思い出し、自分の恐怖を再び抑え込む。
何度も彼を思い浮かべているうちに、震えも冷や汗も止まった。
深呼吸し、アザを隠すことを第一に考え、包帯を巻き、首元がほとんど隠れる服を着る。
「ジャーファルさん」
起こしに行かなくちゃ、と、ブレスレットをして部屋を出て行った。