第6章 【かけられた呪い】
* * * *
「シェリル…」
(…だれ? ジャーファルさんじゃ、ない)
夢の中だと認識していても、覚めることのない夢に違和感を抱く。
暗い夜、三日月、立っているのは水面。
冷たい…、おかしい、この夢はオカシイッ!!
「ジャーファルさんっ!!」
彼の名前を叫んでも、周りの水面に反響するだけで、声は返って来ない。
ルフが、真っ赤に染まっていく。
「ぃやだ…いやだっ!! ジャーふぁ―――――…あ゛っ」
真っ赤に染まったルフが、牙を向いたように私の口の中に入ってきた。
吐き出せるルフはすべて吐き出し、影でルフを払う。
口に手を当てて水面を走り、地面に足を着けた。
寒くて、真っ暗な森。
(…まだ吐き気がする、気持ち悪い…)
「シェリル……だ…」
「誰…だれ…っ!!」
具合が悪くて座り込んでいる私の後ろから、首を掴んでゆっくり締めてくる両手。
「あ゛がッ」
その手を離そうと懸命に暴れるが、より一層、締める力は強くなる。
気が遠くなる意識の中、耳に残った最後の言葉は、気味が悪いものだった。