第5章 師との決別…、新たな契約を。
「でも、まだ契約は成立していません。ジャーファルさん、私を従者と認めて下さい」
「…えぇ」
私の右腕にある睡蓮、前の主…アルストとの契約痕が、彼がなぞると消えていった。
替わりに、ジャーファルさんと同じ草模様の契約痕ができる。
「これで、あなたは本当に私のモノだ…」
「一生側にいます、その心臓が鼓動を止めるまで」
ジャーファルさんは私の頬にキスをして、目を閉じた。
「今日はこれで我慢します、風邪を移してはいけませんからね……それに…」
顔がさらに赤くなり、熱が上がったと思って額に手を当てると、ジャーファルさんに手を重ねられた。
「今…、死にそうなくらい幸せなんですから」
「ジャーファル……さ…」
「…体が熱くなってきました、……拭いてください」
安らかな表情でそう言って、子供のように毛布で顔を隠した。
(危うい、危ういっ!!)
ジャーファルさんが、あんな顔すると思わなかった。
すぐに毛布で隠してくれなかったら、きっと私は彼に落ちていた…。
熱くなった頬を両手で挟み、冷ました。
「ジャーファルさん、もう少し自分で体支えて下さい!!」
「そう言われても、力が入らないんですよ…」
「…きゃぁっ!!」