第5章 師との決別…、新たな契約を。
「…ジャーファルさんっ」
朝起きて、服に着替えて真っ先に彼の元に向かった。
まだ熱は下がっていないらしく、苦しそうな寝息が聞こえる。
私は部屋から持ってきた水で濡らしたタオルで額の汗を拭いてあげた。
「…ん……」
「おはようございます、…気分はどうですか?」
「……シェリルさん…」
「寝てて下さいっ!! 今、着替え取ってきますから…」
起き上がろうとする彼を止め、前に借りた寝間着を部屋に取りに行く。
戻ると、虚ろな目をして天井を見つめている彼がいた。
「ちょっと体起こしますね、体拭きますから」
「……ありがとう」
「私はあなたの従者ですから」
「え…」と彼の口から零れる言葉を微笑みで返し、腕を拭く。
彼の左右の手首に、青い草模様のアザがあることを確認し、見せた。
「昨夜…ジャーファルさんに忠誠を誓いました、あなたは私の主です」
「シェリル、私なんかが主で────」
「あなたがいいんです、ご迷惑であれば呪解します」
「…シェリルっ!!」
ジャーファルさんは笑顔で私を抱きしめた。
その腕から伝わってくる痛いくらいの強さに安心した。