第5章 師との決別…、新たな契約を。
『…本来なら処刑しているはずだが、ジャーファルの説得で…』
「………」
シンドバッドの言葉を思い出し、撫でる手を止め、顔から離す。
頭にしているカフィーヤを取って横に置き、綺麗な銀髪を撫でた。
ジャーファルさんが少し愛しいと思った。
(また…、私はこの人に助けられた)
『シェリー…、人に忠誠を誓うときは…』
師である、アルストにしたように彼に口付けし、右耳で彼の心臓の鼓動を聞く。
そして、右手足の甲、つま先にキスをした。
『あなたの手となり足となります。あなたの心の臓が止まるまで、私はあなたに従順な従者。忠誠を誓いましょう、私はあなたに一生尽くしましょう』
主だったアルストは死んだんだ。
命を救ってくれたジャーファルさんに、再び忠誠を誓おう。
これからどんなに辛い事があっても、苦しい事があっても、私は彼に従おう。
「ジャーファルさん、あなたを私の主と認めましょう。私はあなたに絶対の忠誠を誓います」
そう言って、部屋を後にした。