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【マギ】ジャーファルさんに愛されて。

第5章 師との決別…、新たな契約を。



瞬足でシンドリアから少し離れ、深い森の中で青いルフを再び出した。
影にルフを与え、指を鳴らして地面の一点に影を集中させ、その影の中に沈んでいく。
目を開けて上を見ると、さっき立っていた地面が見える。

(成功した…!!)

影の中に入り、影から影へと移動する術。
師匠が一度も成し得なかった術を、一人で獲得することができた。

「よくできたな、シェリー…」
「!! やりましたよ、し―――――」

そんな声が聞こえた気がして振り返っても、彼はいない。
大好きな師匠はもういない。
わかっているのに、心の何処かで、まだ納得していない。
彼は死んだ、そう自分に言い聞かせても…。

「アルスト…」

師匠の名前を呼んでも、「呼び捨てにするなッ」と、怒った彼は現れない。
また叱ってください、また笑ってください。

「………っ!!」

込み上げてきた気持ちを抑えられず、溢れ出る涙。
顔を両手で覆って、泣き崩れる。
泣き止んで、宮殿に帰ることを思ったのは、夜だった。
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