第4章 捕えられて。
目覚めると、眠っているジャーファルさんが見えた。右手は彼の両手に挟まれて握られていて温かい。
逃げるなら、今しかないと思った。
「ごめんなさい、ジャーファルさん」
右手を両手から抜き取り、彼とは反対側からベッドを降りようとした。
が、私が床に足を着けた瞬間、左手を引かれてベッドに仰向けに倒れる。
何が起こったのかわからずに混乱していると、サラサラな銀髪が揺れるのが見えた。
「何処に行くんですか、側にいると言ったでしょう?」
「…放してっ」
「放しません」
真っ直ぐな瞳をした彼からは、酔ってしまいそうな、媚薬に似た甘い香りがする。
私が顔を背けると、首元に顔を埋めてキスをされ、舐められた。
「!! ジャーファルさ───」
「シェリルさん、あなたが欲しい。行かないで…」
消えてしまいそうな声で私の名前を言い、今にも泣いてしまいそうな声で言った。
私の正面に移動し、首に手をまわして強く抱きしめられる。
最後に、「お願いです」と呟かれた。
(震えてる…)
私を何度も救ってくれた人…。
彼が私を必要としているなら私は…。
「分かりました」
「あぁ…、よかった。これで────あなたは私のモノですね…」