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【HQ!! 】ラブミーギミー

第2章 買い出しと再会




「え!湯野先輩って大王様のこと知ってるんですか!!青城の練習試合の時居なかったのに!」
「大王……?……まぁ、同級生で部活一緒だったし、ね」

 この前の武田先生が必死で取り付けた青城の練習試合には、私は不参加であった。
 家の用事が重なったから、という理由は嘘ではないけれど、意図的に避けたのも事実だ。

 主に、件の青葉城西高校バレー部主将、及川徹との接触を避けるために。

「……ほらほら、お喋りも良いけど足動かす。もう暗くなってきたし、早く帰るよ」

 無理矢理でも話題を変えたくて、後輩たちを急かして、さっさと先頭に立って歩き出す。

 ドクドクといつもより早い鼓動を刻む心臓には気付かないふりをする。
 後輩たちには見られないように、こっそりと唇を噛み締めた。

 ……大丈夫。動揺なんてしてない。
 ただちょっと、思いもよらないタイミングで名前を聞いたから驚いただけ。

「せ、先輩!そっち駅とは逆方向です!!」
「え」

 山口の慌てた声に振り返った、その時だった。

 ドンッと、正面から歩いて来た人にぶつかった。

 予想もしていなかった衝撃に身体が反応できるはずもなく、呆気ないほど簡単に体勢を崩す。

 そのまま地面に投げ出されると思いきや。

 ぐいっと、不意に腕にかかった力によって引き寄せられた。
 ぶつかった人が間一髪で腕を引いてくれたらしい。

「悪い、大丈夫か!?」
「いえ、全然平気です……。ありが……」

 その人の顔を見て、言いかけたお礼の言葉尻が消えた。

 白と水色の特徴的なジャージを羽織った男子。
 ツンツンと跳ねた硬質な黒髪と、鋭い目付き。
 一見近寄りがたそうな見た目に反して、その実彼はとても親切なことを私は知っていた。

「……岩泉?」
「は?何で知って……って」

 私の顔を凝視して、みるみる表情を変えていく。

「……お前、まさか湯野か?」
「えーと……久し振り」

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